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最終更新日: 2023.02.08

SIer(システム受託開発会社)に今後マーケティングが必要な理由

SIer マーケティング

この記事では、SIer(システム受託開発会社)で働くマーケターが、書籍を読んで自社に取り込みたいと感じたマーケティングの話をまとめました。同業のマーケター、営業の方や、さらには業界問わず転用できる部分が多くあると思いますので、マーケティングを考えるすべての方へお読みいただけると幸いです!

 

はじめに

弊社では、2021年より本格的にデジタルマーケティングに取り組み始めました。まだまだ後発で仕組み作りをしている段階ですが、弊社のようなシステム開発の業界のみならず、多くの日本企業に共通して、今後マーケティングが必須だと言えます。それを分かりやすくまとめている書籍が、「USJを劇的に変えた、たった一つの考え方」

日本でマーケティングが発展してこなかった理由、マーケティング推進の重要な点、マーケターの考え方など、本書では著者の森岡毅氏が再建させたユニバーサルスタジオジャパン(USJ)の実例を元に、分かりやすくまとめられており大変勉強になりました。

その中で、SIer(システム受託開発会社)において特に改善していくべきだと感じたことを、私見も交えながら解説していきます。

 

SIerのマーケティングが発展してない現状

本書では、日本でマーケティングが発達してこなかった理由がいくつか挙げられていますが、その中で特に我々ソフトウェア開発の業界に刺さる文章がありました。

日本の大企業の多くは、技術の優位性を信じ、「良い製品を作れば売れる」と信じてきた。実際に日本の製造業の多くは、そうやって世界に冠たる一時代を築いた。その反面、マーケティングの発展を遅らせてきた。
マーケティング力が必要に迫られることで本当に発達するのは、むしろ技術による商品差別化が困難ないわゆる「ローテク業界」。例えば「水」のような、一般には大きく差が生まれない商品をマーケティング無しに売れるか?

 

製造業を例に挙げられていますが、まさに、ものづくりであるソフトウェア開発の領域においても、「プログラミング技術」や「多機能」であることが売りになると思っている場面があります。もちろん技術による差別化が可能な場面もありますが、パッケージ商品に関しては、ユーザーは技術を意識しなくていいはずなのに技術をアピールしてしまったり、シンプルにやりたいことができればいいのに機能の豊富さをアピールしてしまったり、といったことが起こります。またこれだけパッケージ製品がありふれて、ローコード/ノーコード開発が勢力を増してきた現代では、分野による幅はありますが総合的に見て、機能面で大きな差は無くなってきていると言えます。

 

SIer業界に置き換えて必要なことは?

本書で述べられているマーケティング成功例の中でも、特にブランド・マネジメント・システムに注目しました。

海外のマーケティング企業の爆発的な成長に共通しているのは、「ブランド・マネジメント・システム」と呼ばれる経営管理手法を活用することで成長してきた。
ブランドごとに収益責任を持つ担当者(ブランド・マネージャー)を置き、複数の部署からなるチームを束ねて牽引するシステム。
ブランドそれぞれが小さな会社のように「ブランド価値向上」の意思決定が行える単位として組織された会社構造。

 

この「ブランド・マネジメント・システム」は、IT業界でいう「プロダクトマネジメント」であり、この責任者は「プロダクトマネージャー(PdM)」に当たるのではないかと、非常に理解が進んだ内容でした。

 

▼プロダクトマネージャー(PdM)についての詳細はこちらの記事が分かりやすかったので参考にされてください!

https://careerhack.en-japan.com/report/detail/1211

(抜粋:プロダクトマネージャーとは、担当する商品、サービスの開発から販売まで戦略を立て、実行、意思決定をする責任者のことを指します。プロダクトを成長に導くためのリーダー『PM』、もしくは『PdM』と呼ばれます。)

 

このPdMの考えは、いわゆるSaaS業界では当たり前に使われているものだと思いますが、長く受託開発を行ってきたシステム開発会社では、開発とマーケティング、そしてデザインに精通している人材がなかなかいないのが現状です。やってきた事業内容や成長戦略が異なるので、当然の結果だと考えられます。

そのため、自社でパッケージ製品を開発したとして、これが本質的にどういうニーズがあるのか、どうマーケティングしていくのか、本当に求められている人にどのように届ければいいのか、このような設計の方法が分からないのです。

ところがこれだけスクラッチ開発をしなくなり、世の中にSaaSやパッケージシステムがありふれた状態になると、受託開発を行っていた会社は別の事業体に変化しなければなりません。その戦略の一つが、まだ空いている領域を狙ったSaaSやパッケージシステムの開発です。

 

弊社での取り組み

弊社でも自社でSaaS開発に取り組んでいます。

自社のExcel業務を改善し、DX化の一歩となった「クラウド日報システム Power-Report」や、OBC様と共同企画し、開発を行った「データ集計・通知システム 旗振~hata free~」など、弊社の開発力を生かして、現場や経営層に気付きを与えて、ユーザーの行動を変えるというDX化を推し進めるようなシステムを展開しています。

そこにデジタルマーケティングを活用しているのがここ数年の話です。長く取り組んできたというわけではなく、今いるメンバーで走り始めて、結果を求めている段階ではありますが、愚直に取り組み、自社そのものや自社商品の強みを理解し、それを誰にどのように使っていただけるかを日々考えております。

本書には以下のような言葉があります。

「技術」と「マーケティング」の両方を手に入れた企業が勝つ

 

まさに、これまでの受託開発のノウハウを通して磨き上げてきた技術力に、今後マーケティング力をさらに高め、繋ぎ合わせていくことで、新たな業態へと変化していけると信じています。

これこそが、今後SIerが価値を持ってサービス提供していくための道だと思いますので、同業の皆様は是非この中で協業の機会をいただければ幸いです。

そして、どのような想いを持って自社商品開発に取り組んでいるのか、どのような課題解決をしてDX化を進めていくべきなのか、なども当サイト内でも引き続きご紹介していければと思いますので、よろしくお願いいたします。

 

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