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最終更新日: 2024.03.06

顧客感情を知る方法を解説 ネット・プロモーター・スコア(NPS)

【執筆者プロフィール】
こんにちは! 株式会社福岡情報ビジネスセンターの酒井です。
福岡県北九州市出身。大学卒業後、システムエンジニア、プロジェクトリーダー/マネージャーとしてSI事業に従事。その後、技術職から営業職に異動し、ソリューション営業、営業マネージャー、営業統括責任者としてIT営業に従事。グループ会社の再編を経て、情報システム部門の立ち上げに参画。その後、福岡情報ビジネスセンターへ取締役(CCO/カスタマー担当役員)として参画。

今回も引き続き、顧客に関して思ったことや調べてわかったことなど書いていきたいと思います。
顧客との関係について興味のある方や同じような立場の方に、ぜひ読んでいただければと思います。

<前回の記事>
顧客体験 カスタマー・エクスペリエンス(CX)が注目される理由とは? – 株式会社福岡情報ビジネスセンター (fbicenter.co.jp)



カスタマー・エクスペリエンス(CX)を測定するNPS

今回は顧客の感情を知るための指標となるネット・プロモーター・スコア(NPS)を測定する方法について書いていきたいと思います。NPSの特徴は、顧客への質問とその回答の分析方法がとてもシンプルでわかりやすいことです。顧客への質問は基本的にたった一つで「あなたはこの商品やサービスをどの程度、知人や同僚にすすめたいと思いますか」だけです。

この問いに対して顧客が0~10までの11段階の選択肢から答えを選びます。全くすすめたいと思わなければ「0」、無条件ですすめたければ「10」、どちらでもなければ「1~9」の間から自分のおすすめ度に最も近いものを選びます。NPSは顧客満足度調査の手法によく似ていますが、分析方法や得られる結果は全く違います。NPSでは、11段階ある選択肢のうち、「0~6」を選んだ人を批判者、「7」や「8」を選んだ人を中立者、「9」や「10」を選んだ人を推奨者とし、MPSの値は推奨者の割合から批判者の割合を引いたものとなります。

推奨者が批判者よりも多くなればNPSは正の値となり、逆であれば負の値となります。NPSの値が大きければ大きいほど、「その商品やサービスを知人や同僚にすすめたい」と顧客に思わせていることを示します。



NPSの捉え方とは

推奨度は商品やサービスだけでなく、企業について調査することもできます。継続的に調査してその変化を見ることや複数対象を同時に調査・比較することもできます。NPSはマイナスの結果になることもありますが、マイナスが出たからといって悪い商品やサービスであるということではありません。

業界や商材によってはNPSが低く出やすいケースもあり、業界内でトップの顧客体験を提供している企業でもマイナスの結果になることもあるようです。NPSはあくまでも顧客が感じているロイヤリティを数値にしたものなので、絶対値としてのマイナス・プラスには大きな意味がないということです。

重要なのはプラス、マイナスの数値が出たということではなく、現在のNPSからどの程度まで引き上げられるかを考えていくことです。特に日本ではNPSが低くでる傾向がありその理由の一つは国民性です。日本人は選択肢があると中央付近のものを選ぶ傾向があるようです。その結果NPSでは中央付近の
「4~6」を選ぶと批判者となりますので、中央付近を選ぶ人が多いほどNPSはマイナスに傾くことになります。



顧客の本音が見えてくる

ある企業が顧客に3つの質問を行った調査で顧客の本音が見えたそうです。1つは「①推奨度を11段階で尋ねたもの」、もう1つは「②顧客自身の今後の利用意向を7段階で尋ねたもの」、最後に「③総合満足度を7段階で尋ねたもの」

この3つの質問に対する回答ですが、「①推奨度を尋ねた質問」で最も多かった回答は「5」で次に「8」と「7」という結果となりました。「②利用意向の質問」では、「利用したい」が圧倒的に多く、次に多いのが「機会があれば利用したい」、「どちらでもない」という結果となりました。「③総合満足度の質問」では、多い順に「満足」、「やや満足」、「どちらでもない」という結果になったそうです。

この3つの回答結果から読み取れるのは、「満足」と回答していても隠れた不満を持っているため、知人や同僚にはすすめられないというリピート意向や、総合満足度だけからでは読み取れない顧客の本音があるようです。隠れた不満を持っているとはどういうことなのか、別の顧客を対象に調査しました。「大変満足」、「満足」、「ふつう」、「不満」、「大変不満」の5段階評価で、「総合満足度」と「NPS」の調査結果を比較しました。「総合満足度」で「大変満足」と回答した人をNPSで分類すると、その内の20%近くが”批判者”となり、”中立者”は35%、”推奨者”は45%だったそうです。「大変満足」と回答していても「推奨者」は半分以下ということです。逆に「NPS調査」での”推奨者”にあたる人を「総合顧客満足度」の調査で分類すると、99%の人が「大変満足」か「満足」を選んでいたそうです。

つまり、NPS調査の推奨者に分類される人は、ほぼ満足しているということになります。この事象は2つのことを示唆しているようです。一つは「満足度は、サービス品質や価格などそれぞれに対する顧客の感情を測ることができても、サービスや企業に対するロイヤリティを計測できていない」ということ、もう一つは「品質では満足しているものの、価格的には不満を持っており、満足度調査ではその本音をあぶり出せなていない」ということです。これにより、NPSの特徴ともいえる「知人や同僚にすすめますか?」という質問が、商品やサービス単体の価値ではなく、サービスやブランド全体の満足度を知る上で的を射ていることが理解できました。



何をすればNPSが向上する?

NPSの測定方法は、顧客に対して「あなたはこの商品やサービスをどの程度、知人や同僚にすすめたいと思いますか?」と尋ね、11段階から答えを選択してもらうのです。つまり、どのような企業でもNPSを測定することはできます。

ただこれだけでは、「NPSがなぜそのようなスコアになったのか」を知り、「NPSを向上させるためには何をしたら良いのか」を考えて実行することには不十分です。なので実際にNPSを調査する時は、11段階の質問の答えを選ぶ際に、「その点数をつけた理由は何ですか?」と自由記入欄に答えてもらいます。これにより、「何がプラスに、または何がマイナスに影響したのか」の原因を知ることができます。

しかし実際には、NPSのスコアと自由記入欄のコメントをうまく結び付けられず、結果的にNPSを改善できないことが殆どです。そこで、「その点数をつけた理由は何ですか?」と尋ねる代わりに、顧客体験を細分化し、どの要素がNPSを強く押し上げたのか、あるいは引き下げたのか、影響を与えなかったのかを調査することで、どの顧客接点を見直すことがNPSの向上に大きく寄与するのかが浮き彫りになります。それは収益を改善し、持続的な企業の成長に貢献する部分を明確にし、改善活動に取り組みやすくしていることにもなります。

ロイヤルカスタマーと長く良好な関係を築き長期的な成長をするために、ネット・プロモーター・スコア(NPS)を用いて現状の顧客体験を計測することは非常に重要な意味があることがわかりました。


以上、最後まで読んでいただきありがとうございました。

 

 

 

 

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