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CX改善のために従業員の本音を知る エンプロイー・ネット・プロモーター・スコア

【執筆者プロフィール】
こんにちは! 株式会社福岡情報ビジネスセンターの酒井です。
福岡県北九州市出身。大学卒業後、システムエンジニア、プロジェクトリーダー/マネージャーとしてSI事業に従事。その後、技術職から営業職に異動し、ソリューション営業、営業マネージャー、営業統括責任者としてIT営業に従事。グループ会社の再編を経て、情報システム部門の立ち上げに参画。その後、福岡情報ビジネスセンターへ取締役(CCO/カスタマー担当役員)として参画。

今回も引き続き、顧客に関して思ったことや調べてわかったことなど書いていきたいと思います。
顧客との関係について興味のある方や同じような立場の方に、ぜひ読んでいただければと思います。

<前回の記事>
カスタマー・エクスペリエンス・マネジメントに取り組む



CXとEXの関係

CSが注目された頃にESにも脚光が当たるようになりました。ESとは、「エンプロイーサティスファクション」従業員満足度です。従業員の会社に対する満足度が高い企業ほど一体感が生まれ、持続的な成長が可能となります。これは顧客の満足度もさることながら従業員の満足度を上げるべきだという考え方です。会社の施策に従業員が満足しモチベーションを高めて働くようになると、それが接客や商品・サービスを通じて顧客にも伝わり、CSも上がることに期待できます。反対に従業員がCSの高さを感じ取ってそれを誇りに感じ、顧客の期待に応えようとして働くことがESを高めることもあります。


雰囲気の良い職場は業績が良く、雰囲気の悪い職場は業績が悪い。業績の良い職場は雰囲気が良く、業績の悪い職場は雰囲気が悪い。どちらも言えます。CSとESは卵とニワトリのような関係にあります。CXとEX(エンプロイーエクスペリエンス)も同じような関係にあります。そしてEXを定量的に測定するのがeNPS(エンプロイー・ネット・プロモーター・スコア)です。このスコアは従業員が「親しい知人や友人に、今自分が働いている職場で働くことをすすめるか」を11段階で聞いた回答から得られる数字です。つまり、従業員を対象としたNPSということです。
「NPS(ネット・プロモーター・スコア)についてはこちら!


調査時にはメインとなる第1の質問の他、エンプロイーエクスペリエンス、仕事のやりがいや職場の人間関係、有給休暇の取りやすさなどについても尋ね、どの従業員がeNPSに大きく影響しているのかを知ることにより、必要な施策をすぐに講じることができます。また、NPSが顧客の購買行動と相関するようにeNPSは離職率の低さ、生産性の高さに相関があるとされています。既に多くの企業がこのeNPSを使って労働環境の改善と従業員のモチベーション向上、収益の増加に取り組んでいます。



eNPSが求められる理由

企業はかねてから従業員の労働環境の改善に努めてきました。CS、CXを重視する企業はそうした言葉が誕生する前から存在していましたが、現代はその労働環境が変化するスピード以上に周辺環境が急速に変っています。よって従業員にモチベーション高く、より長く働いてもらうとする取り組みが盛んになり、従業員エンゲージメントに注目が集まっています。


従業員エンゲージメントの定義は、認知、感情、行動エネルギーが引き起こす組織と仕事に対しての前向きで活動的な心理などとされています。eNPSは職場に対する推奨度という観点で、この従業員エンゲージメントを数値化するものです。日本では人手不足が深刻化するにつれ新しい採用の形にも注目が集まっています。それがリファラル採用(従業員の紹介による採用)です。かつての縁故採用と似ていますが決定権が採用される側にあることが大きく異なります。


また、採用する側にもメリットがあります。社風や文化を理解した人材を転職エージェントなどに依頼せず低コストで獲得できます。さらに採用時のミスマッチを減れせるので離職も防げるうえ、積極的な転職活動をしていない優秀な人材も確保できます。しかし、こうしたメリットを享受できるのは、採用される側にとって魅力的な社風や文化を持っている企業や、親しい知人や友人に胸を張って「うちの会社で働くといいよ」とすすめる従業員がいる企業だけです。


eNPSの低い批判者だらけの企業は、リファラル採用によるメリットを受けられません。また、多くの企業にとって自社にいる優秀な人材の流出を防ぐことは、新しい優秀な人材の採用と同じくらい重要です。日々のマンパワーが足りなくなるだけでなく、ノウハウやスキルが継承できなくなってしまいます。eNPS調査を行うことでこうした課題にも対策が打てます。どのような要因がeNPSを引き上げているのかが分かるので改善策を考慮できるのです。



NPSとeNPSは両輪のような存在

ある企業がeNPSを調査し、従業員体験のうち何が推奨度に大きく影響しているのかを調査したところ、「仕事にやりがいを感じられない」という評価は、「商品知識が十分でない」ということに大きく影響されていることが分かったそうです。従業員はお客様の役に立ちたいと思っているにもかかわらず、商品やサービスについて十分な説明ができない。そこで抱える気持ちが「仕事にやりがいを感じられない」という言葉で表現されていたようです。この会社では直ぐに、従業員を対象にした商品やサービスについての研修を始めました。


すると、短期間のうちにeNPSが25%も改善し、知識を得たことで余裕を持って接客ができるようになり、モチベーションが上がった結果順番待ちをしている客に声をかけることもできるようになったそうです。この会社では結果としてNPSも増加し成約率も向上しました。また、成約率の向上による収益の向上が、従業員に職場環境の改善という形で還元されればモチベーションはますます上がり、離職率は下がることも期待できます。


NPSとeNPSは卵とニワトリのような関係ですが、確実に言えるのは互いに深く関連している両輪のような存在であるということです。NPSから取り組むか、それともeNPSから取り組むかは、今現在の課題がどこにあるのかによって決まります。しかし、この2つは無関係ではないので短期的な収益構造と持続的な成長という目標の達成には、両方に同時に取り組むのが理想です。もしもNPSだけに取り組んでいると、そこから導かれる改善方針が、従業員に大きな負担となりeNPSを押し下げる可能性があります。経営陣が選ぶのは、NPSとeNPSを同時に押し上げる施策であるべきだと思います。

 

ESが高い企業はCSも高く、企業の成長率を向上させます。そのためにはCXを改善するNSPを押し上げるだけでなく、EXを改善するeNPSを同時に押し上げる施策が必要であることがわかりました。NPSとeNPSの関係は両輪をなしているのですね。
以上、最後まで読んでいただきありがとうございました。

 

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