人事評価施策への取り組み⑥ ~シート作成の考慮点を解説~
こんにちは! 株式会社福岡情報ビジネスセンターの長田です。
【執筆者プロフィール】
[取締役 人財開発・社会貢献担当]
1986年にIBM入社後、SE、PM、ITアーキテクトを歴任し、SE部長としてエンジニアの人事・労務管理を経験したあと、九州・沖縄地域の地区部長としてIBMユーザー研究会、地域有識者会議「九州フォーラム」事務局長、地域外部団体渉外としての業務を歴任しました。また新たなIBMユーザー・コミュニティー(IBM Community Japan)の立ち上げにも関わりました。約35年のIBM勤務を経て、2021年より株式会社福岡情報ビジネスセンターにおいて人財開発・社会貢献を担当する取締役に就任しました。
<前回の記事>
人事評価施策への取り組み⑤ ~人事評価制度再構築に向けた要件定義~
目標シートの設計①
「あしたのチーム」とのこれまでの要件定義では、運用ルールや評価軸を確認しました。評価軸を2軸とし、数値目標(KPI)と達成するための行動目標(プロセス)でしたね。これをもとに、今回は目標シートの設計を進めます。
目標シートは、行動目標(プロセス)と数値目標(KPI)がそれぞれ数行ある表をイメージしてください。まず、数値目標の項目を決めます。売上や利益、お客様満足度のアンケートポイントなど具体的に数値で表される指標は会社のなかにいくつか存在するはずです。
それらPI(Performance Indicators)の中から最も重要な項目がKPI(KeyとなるPI)となりますが、例えば、経営会議や収支会議で重要指標として捉えている項目を設定していきます。職種が営業であれば、案件数、成約数、アポイント数などで、人事であれば、内定人数、離職率、全社残業時間などが想定できます。
このように職種により目標項目は異なりますが、ここでは仮に、ある営業部員の目標設定として話を進めます。仮に、次の3つを数値目標項目とします。
・支社新規受注件数
・支社売上達成率
・支社社長アポイント数
達成すべき3つの項目を設定しましたが、次にそれぞれのウェイトを項目の優先順位の上から配分していきます。ここでは、40、40、20とします。(合計が100となるように)。あまり小さな数値にならないようにしましょう。
目標シートの設計②
続いて、それぞれの数値目標の評価段階数を決めます。考慮すべきなのは、細かくしすぎないことと、中央値を作らない(偶数で設定する)ことです。奇数にするといわゆる「普通」のようなよくも悪くもわからない判断基準となるためにあえて偶数項目とします。そして、数値目標の必達レベルを中央値の次(上)のレベルに設定します。
仮にレベル数が6つの場合、必達数値をレベル4に設定し、数値には「〇~〇」と間隔を設けます。(例:受注件数であれば10-14件、売上達成率であれば100%~110%未満)。続いて、数値目標の最低レベルと最高レベルを決めます。いずれも出現可能性が10%を目安とします。最高レベルについては、不可能な水準にしないことにも配慮します。
そして次に、行動目標(プロセス)と数値目標(KPI)の配点ウェイトを決めます。例えば、行動目標が40、数値目標が60とバランスをみます。(合計は100)
さらに、職位によっての配慮も必要です。一般職とリーダー職で数値目標を同じにしてよいかを検討し、より上位の職は数値目標のウェイトを高くすることで差をつけます。(例:営業一般職の数値目標ウェイトは60だが、リーダー職の数値目標ウェイトを70とする)。
目標設定のパターン
各レベルに具体的な数値を入れ数値目標を設定し、それぞれのウェイトを決めたあと、次にKPIを達成するための具体的な行動目標を自己設定します。具体的には、事業部長により職種ごとのKPIとレベルごとの数値範囲を設定し、項目ごとにウェイトを決め、この内容を社員に提示し、数値目標項目を達成するために取り組むべきプロセス・行動改善を記入していくという流れです。
プロセス目標の例として次のように記入します。例)金曜日に来場されたお客様へ、毎週火曜日に見学会、相談会の誘致連絡をする。担当したお客様に、来場当日には個別ハガキを送り、その後、電話での案内を継続することで、自社の信頼を勝ち取る。対象者の状況報告をリストにまとめ、チーフへ週1回報告する。
このように、数値目標を達成するために自分自身が業務としてどう取り組むか、これまでの行動をどう改善するか具体的に記入することが必要となります。(漠然とした記入では行動に結びつかない)。
行動目標の評点の尺度と報酬との連動
目標シートが定義できましたので、次回は評価の尺度と報酬体系設計について解説します。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
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