【解説】BtoB企業がECを導入する3つのメリット・注意点
今回のブログでは、BtoB企業がECサイトを導入するメリットや導入の注意点をまとめました。
目次
BtoB ECサイトとは
BtoBとは?BtoCとの違い
BtoB(Business to Business)とは、企業間取引のことで、企業と企業がビジネスを行うことを指します。B2Bと略される場合もあります。
BtoBの対義語はBtoC(Business to Consumer)で、企業と一般消費者(個人)の間の取引を指します。
ECサイトとは
インターネット上で買い物ができるWebサイトを「ECサイト」と言います。
BtoBでは「ECサイト」「EC」、BtoCでは「ネットショップ」「ネット通販」という言葉がそれぞれよく使われています。
EC(Electronic Commerce)とは、日本語で電子商取引と訳されます。インターネット上で行われるモノ・サービスの取引を総称してECと呼びます。
BtoB ECサイトの特徴3つ|BtoCとの違い
BtoB ECサイトの特徴を、BtoCと比較して3つ紹介します。
- クローズドなECサイトが多い
- 商品や価格の表示がユーザーごとに異なる
- 1社で複数の発注担当者が存在する
特徴1|クローズドなECサイトが多い
BtoC向けのECサイトでは通常、全てのユーザーがECサイトを利用することができます。
それに対してBtoB向けのECサイトでは、特定の得意先・取引先のみがログインしてECサイトを利用できる、クローズドなECサイトが多いことが特徴の1つです。
クローズドなECサイトが多い理由には、次の項で紹介する「商品」「掛率」が関係しています。
特徴2|商品や価格の表示がユーザーごとに異なる
BtoC向けのECサイトでは、優待会員である場合や割引されている場合を除いて、基本的に全てのユーザーが同じ商品、同じ価格で商品を購入します。
しかし、BtoB(企業間取引)では、得意先ごとに販売する商品が異なっていたり、同じ商品であっても取引先企業ごとに掛率(商品の販売価格に対する原価の割合)を変えたりすることが珍しくありません。
そのためBtoB向けのECサイトでは、ECサイトに表示される商品内容や価格がユーザー(得意先・取引先企業)ごとに異なる場合が多いです。
特徴3|1社で複数の発注担当者が存在する
BtoC向けのECサイトでは、一般的にユーザー(買い手)1人で注文・決済を行うことができます。
一方、BtoB向けのECサイトでは、ユーザーとなるのは企業です。
BtoB(企業間取引)では、購入に上長の承認が必要であったり、複数の発注担当者が存在したりする場合が大半です。
また、前項で紹介した通り、BtoBでは得意先企業ごとに掛率が変動します。
BtoB向けのECサイトでは、複数の発注担当者の存在や掛率の変動、そして業界独自の商習慣に合わせた取引形態を考慮してシステム構築を行うため、BtoC向けのECサイトと比較して、企業を単位としたツリー型の管理構造を考える必要があります。
BtoBでECサイトを導入する3つのメリット
BtoB企業がECサイトを導入する場合の代表的な3つのメリットを紹介します。
- 受注業務を効率化できる
- 人為的なミスを削減できる
- 属人化を防ぐことができる
メリット1|受注業務を効率化できる
電話やFAXが主な受注形態の場合、下記の課題があります。
- 電話やFAXで受領した情報を基幹システム等に手入力しなければならず、膨大な負担がかかる
- 大量の紙(発注書)の管理が必要になる
- 営業宛の連絡も多く営業活動の妨げになっている
ECサイトでは、受注に必要な手続きは全てインターネット上で完結します。そのため、ECサイトを導入し、これまで電話やFAXを使い手作業で行っていた業務を自動化することで、受注業務を効率化することができます。
また、電話やFAXでの受注は営業時間内のみに留まりますが、ECサイトでは24時間いつでも注文の受け付けが可能です。ECサイトを導入することで、顧客が営業時間外に注文を行いたい場合に、対応にタイムラグが発生したり、その時間に営業している競合他社や他企業のECサイトへ顧客が流れたりする可能性を防ぐことができます。
▼EC導入のポイントはこちら
メリット2|人為的なミスを削減できる
ECサイトを導入することで受注に必要な業務を自動化できるため、下記のような人為的なミス(ヒューマンエラー)を削減することができます。
- 手入力の際の記入ミス
- 「いつものお願い!」「この前の追加で」という曖昧な注文が原因で発生する、読み間違いや聞き間違いによる誤入力
誤入力が起きた場合、そのまま誤った製造・出荷指示が行われ、時間・コスト共に損失を出してしまいます。
ECサイトでは、発注者は写真・商品名などの商品詳細を目で見て注文します。受注者もこれらの情報を確認したうえで商品を受注します。このような業務フローを経ることで、発注者と受注者の認識の齟齬を減らし、語入力や誤った発注を防ぐことができます。
メリット3|属人化を防ぐことができる
BtoB(企業間取引)でよくある課題の1つに、特定の得意先から受け取る発注情報の「商品コード」や「商品名」が受注側で扱っているものと異なるため、入力に慣れやノウハウが必要という課題があります。
ベテランであれば「この得意先のこの注文商品は、うちのシステムで言うとコレね」と素早く判断ができますが、業務に慣れていない人や新人はそうはいきません。
特定の人しか業務を行うことができず極端に属人化している状態は、事業継続性に問題があったり、人材育成に時間がかかったりするなど、企業にとって非常に高いリスクとなります。
BtoB企業に特化したECサイトでは、「特定の得意先にのみ、掛け率や選択画面に表示させる商品名などの販売条件を変更する」という設定が可能です。あらかじめECサイトで条件を設定すれば、入力に慣れやノウハウは不要となるため、ベテラン社員に依存せず、業務の属人化を防ぐことができます。
ECサイト導入の3つメリットまとめ
このように、ECサイトを導入し、電話・FAXからの転記・入力作業の負担を軽減することで、注文から出荷、納品までのリードタイムを短縮し、生産性の向上を図ることが可能です。
業務を効率化し、受発注に対応する人員・時間を削減すれば、企業はコア業務や新たな施策の導入など、より重要なミッションに注力することができます。
ECサイト導入の3つの注意点
BtoB企業がECサイトを導入する際の注意点を3つ紹介します。
- 業務フローを整理する
- 得意先がECサイトを利用してくれるのか調査する
- 基幹システムとの連携が可能か確認する
注意点1|業務フローを整理する
ECサイトの導入によって、これまで電話やFAXで行っていた受注業務や、その後の発注書作成、入力作業など様々な流れが変わります。導入後、すぐに運用を開始できるよう、既存の業務フローの見直しや新しい業務フローの整理を行いましょう。
- 業務をECサイトに置き換えた場合、適切に業務を進められるか
- システム導入に伴う業務フローの変更点の整理(体制や管理方法の見直し)
注意点2|得意先へのサポート
全ての得意先がECサイトをすぐに利用してくれるとは限りません。ECサイトの導入・開設前に、得意先がECサイトを利用してくれるかを調査する必要があります。
調査には顧客アンケートが有効です。発注システムを導入した場合にご利用いただけるか、発注側である顧客にとってのメリットも添えて事実確認していく必要があります。
調査の結果、利用率が低い場合は別の打ち手を講じる必要があります。既にEDIが用意されている、紙で出力せざるを得ないためECだと手間が増えるなど、顧客がなぜECサイトへ移行する気になれないのかなどの理由を調査し、得意先の業務環境に応じた対策が必要になります。
また、全ての得意先に対してECサイトを開設するのではなく、まずはスモールスタートで特定の得意先にのみECサイトを利用してもらい、課題を洗い出すのも一つの手です。
注意点3|基幹システムとの連携が可能か確認する
ECサイト導入にあたり、導入の候補に挙げたECサイトの構築サービスやパッケージが、自社の基幹システムと連携可能か確認しましょう。確認方法は、構築を依頼する企業やパッケージの販売元に確認しても良いですし、得意のベンダーがあればそのベンダーを通して確認するのもアリです。
BtoBにおけるECサイトの種類は2つ
BtoBで導入可能なECサイトは、大きく分けて次の2種類です。
その1|パッケージ製品を使用する
ECサイトの構築・運営に必要な標準機能がパッケージングされた製品です。
次で説明するスクラッチのECサイトに比べて、費用やコストを抑えて短期間で導入できるのがメリットです。
その2|スクラッチで自社独自のサイトを構築する
オーダーメイドでECサイトを構築していく手法です。
要件定義・設計・プログラミング・保守が必要となり、パッケージで作ったECサイトよりも高額かつ開発に時間がかかります。
しかし、パッケージでは実現できない、自社専用の細かなカスタマイズをできることが利点です。
▼スクラッチ開発とは?こちらのページで詳しく解説しています
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■ この記事を書いた人
東 菜々美
Digital Marketing事業部
2022年4月入社。主にWebデザイン・マーケティング業務に携わる。
趣味は猫とクリエイティブ活動全般。